『アメリカの鏡・日本』

『アメリカの鏡・日本』(ヘレン・ミア-ズ 伊藤延司訳)の出版は我が国に大変な衝撃を
与えた本です。今から22年前の7月に初版第一刷が刊行されるとその二年後には第13刷
まで増刷されました。書斎にはその本を読みながら赤線を引いた箇所があちこちにあって、
熱心に精読したことを思い出しました。

現在では大東亜戦争での我が国での立場を擁護するイギリス人やアメリカ人の著書が
書店をにぎわしております。この本が出版された当時はこれほどあからさまに米国
占領の批判をするにはものすごく勇気が必要とされる状況にありました。

世相がずいぶんと変わってきていることを実感します。で、マッカーサー元帥が米国で
発禁本とした内容の一部を紹介してみます。

占領政策は日本国民と文明の抑圧であることがよくわかる。この計画は戦争の合法的

行為、すなわち賠償行為の常識をはるかに超えた、圧倒的スケ-ルの「懲罰」と「拘束」

である。これが、もし計画通りに実行されれば、私たちの意図とは関係なく、日本の

伝統文明は破壊され、国民はアメリカの下僕となり、人口は減少するだろう。(p81)

・・・わかりやすくいえば、占領は国際的規模で見る刑事と泥棒の関係である。日本の

全国民と文明全体が盗みと殺人をほしいままにしてきたギャングなのだ。アメリカは、

法と秩序をあずかる保安官として、ギャングを殴りつけ、押さえつけ、逮捕、一文無し

になるまで罰金を科し、重労働つき不定期刑で刑務所に送り込んだ。刑務所は厳格だが

人道的に運営されているという。ここでの生活は厳しいが、故意にそうしているのでは

ない。服役者がおとなしく命令に従い、この刑を当然の報いとして受け入れ、看守の

いいつけをよく守るなら、ひどい扱いは受けないだろう。そして、服役者の「凶暴な性格す

が完全に矯正されれば、釈放されて社会に復帰することもできる、というのだ。

この本は米国で1948年に出版されましが、この書物に一貫している記述の公平さを改めて堂々と
再確認できる言論状況が到来してきたのですね。いいことです。